- 作者:平賀 充記
- 発売日: 2019/05/25
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
年代によって感覚は大きく違うことがよくわかる1冊でした・・・。
とある生活用品メーカーの営業課長が昼休憩から戻った入社2年目の中島くん(男性、24歳)に声をかけた。お客様から依頼された注文内容の変更の件についてメールで報告があったが、口頭での報告がなかったからだ。
「中島、ちょっといい?あのさ、大事なことはメールだけで済ませないで一声かけてもらっていい?もし埋もれちゃって見落としたらお客様に迷惑かけることになるでしょ?」
いかがだろうか。これを読み私は、それはそうだろう、という思いと、相手も忙しいので電話、メール、どの手段が最良なのか正直迷う。少なくても相手にぶっきらぼうな印象だけは与えないように、と考える。
しかし、中島くんは「申し訳ありません」と謝ったが、納得していない表情だった。彼の言い分はこうだ。
「一声かけなかった方が悪いっていうなら、メール送る意味なくね?確実に一度で伝わって、ちゃんと履歴も残るからメールがいいわけでしょ。そもそもなんで見落とす前提になってるわけ?仕事のメールなんだから見落としちゃダメでしょ。」
私には直属の部下なる人はいないが、こんな思考でこられたら正直ストレスだ。
今の若者たちはスマホを武器に、毎日多くの情報を得て、超高速で処理している。俺が先輩なんだから、コンビニでパン買ってこい的な不条理をどこかに感じているようだ。 また若者はITで武装しており、テクノロジーの力でオトナが培った経験や知識を軽々と飛び越えていく。オトナの経験値が相対的に価値を失いつつあり、少なくても彼らはそれを感じている節があるのかもしれない。
会議中にスマホをいじる若者をどう思うか⁉
これは関係のないことを検索していたり、話を聞いていないことも確かにあるが、案外関連情報を検索して先回りして取得し、早速どこかに発信していたりする。そんなことは彼らにとってはお手の物だろう。
ではそんな彼らとどう付き合っていくべきだろうか。 ヒントは最近のプロ野球選手とコーチの関係性だ。一昔前はコーチの言うことは絶対で、とにかく何を言われているかわからないけれど「はいっ!」と言ってダッシュで集合、そんなイメージだった。だが最近はどうだろう。どちらかというと近所の兄ちゃんのような接し方をしているように映る。
具体例を挙げてみよう。
〇あえて名前を呼んであげる
「おはよう」ではなく、「〇〇さん、おはよう」
「あのさ」じゃなく「〇〇さんさ」
どんなに騒々しい場所でも自分の名前だけは聞き取れることを「カクテルパーティ効果」というそうだが、それくらい名前を呼ばれることは嬉しいことなのだ。そうしてあげることで彼らに「居場所」が生まれる。
〇コミュニケーションの数
従業員満足が顧客満足につながるという観点で、アルバイト定着率が極めて高い居酒屋チェーンの店長は「コミュニケーションは数」だと言う。「髪、切った?」「服、なんかいつもと違うね」「いいね」とさらっと触れれば十分。タモリさんのように!
〇即レス
今の若者はSNSでのレスポンスのなさに異様な不安を感じる。なのでLINE、メール、口頭での相談等、彼らからアプローチがあった時は忙しくてもとりあえず「ありがとう」「あとで返すね」と伝えるだけで、ちゃんと見てるよ、というメッセージが伝わる。
しかし、若者を辞めさせないために事業をしているわけでもないので、どこかで線引きは必要だ。ぶら下がり社員が多いのも事実であり、近い将来人材を他社とシェアするオープンソース化もあり得るかもしれない。 皆さんはどうお感じになるだろうか?