体育科卒銀行員経由のアントレプレナーのreport

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メガネ業界に見るキャッシュフロー

かつて昭和世代がメガネを買う時は、パリミキメガネスーパーメガネドラッグといった大手全国チェーン店へ行くのが相場だった。フレームを選んで視力検査をしてレンズを作って、会計をすると5万円。更にできあがるのは1週間後。随分懐かしいものです。

当時メガネは貴金属品扱いで値段もほぼ同じだったので、競争力は知名度の一点。ゆえに眼鏡屋のCMが多かったわけだが、そんな業界に革命を起こしたのがメガネトップだ。

日本のメガネ業界は「パリミキ」ブランドの三城HDが長年業界トップに君臨していたが、そこに「眼鏡市場」ブランドで全国ロードサイド店を展開したのがメガネトップ。どんなフレーム、レンズも全て18000円というワンプライス制で画期的な一手を打った。しかしメガネトップが我が世を謳歌していた頃、次なるイノベーションが起きており、それが5000円、7000円、9000円というスリープライス制を打ち出したJINSを経営するベンチャー企業ジンズだ。明朗会計に+アルファのファッション性が加わり若者を中心に大ヒットを繰り出した。

この事情を考慮し、2013年当時のキャッシュフロー図が下記だ。2-14

メガネトップは確実に営業活動によりキャッシュフローを生み出し、それをもとに新規出店を行い(投資キャッシュフロー)、借入の返済を行う(財務キャッシュフロー)、理想的なキャッシュフローの状態だ。

他方、三城HDはかつての盟主だった面影はなく、P/Lはトントン、つまり営業キャッシュフローは減少傾向だ。(未掲載だがB/Sの内部留保が分厚いので資金繰りには困っていない)

ジンズは業界の風雲児のごとく急成長を実現し、将来の成長を見込んで銀行借入、エクイティで資金調達をし(財務キャッシュフロー)、プロモーション、新規出店といった投資をおこなっている(投資キャッシュフロー)。

同じ業界でも3社のキャッシュフローはまるで違うのがよくわかる。

下記の通りメガネトップはライフサイクルで言えば「成熟期」にあり、三城HDは成熟期を超え「衰退期」へ足を突っ込みかけており、ジンズは典型的な「成長期」にあるベンチャー企業の状態だ。
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