体育科卒銀行員経由のアントレプレナーのreport

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ライフネット生命会長

〜生保の将来とフィンテック〜  
先日上記講演会に出席してきました。興味深い内容でしたので要約してお届け致します。
1、これまでの日本 そもそもものの見方を考える上で、人の見方によって答えが変わるのは世の常である。 「他人事、自分事」「総論、各論」「建前、本音」といった具合だ。そのため答えは一つにはなりえない。ここは一つ算数によって物事を捉えていくべきではないか。 今後の日本は敬老原則から年齢フリー原則、所得税から消費税、マイナンバーの時代へと変わっていく。 少子高齢化の波は一朝一夕には解決できる問題ではないことを考えると、アベノミクスの3本の矢にもある通り、女性、高齢者の人材活用が一番早い。例えば定年退職を撤廃することにより健康寿命も延び、働いてもらうことで医療年金財政も安定する。団塊世代200万人に対して新社会人は100万人しかいないのだ。 また女性の社会進出に関しては配偶者控除の引き上げ等言われているが、「義務保育」という制度に政府が腹をくくれるかどうかである。待機児童問題は言われるが待機小学生とはどこからも聞こえてこない。 戦後からの高度経済成長においては冷戦の恩恵もあり、また人口の増加(先進国で人口1憶超はアメリカと日本のみ)もあいまって7%という爆発的な高度経済成長を遂げてきた。 初任給4.8万が翌年には6.4万円、実に133%アップという現実は現在の初任給20万が翌年には    26.6万になることを意味し現在では考えられない。 そしてその成長の過程で必要とされたのが「資本蓄積」。そのため日本は様々な「あめ」を用意してきた。現在は利用できないがマル優(H18までは65歳以上の方であれば誰でも350万までは利子が非課税)、それに加えて配偶者控除、第三号被保険者等がそれである。「飯、風呂、睡眠」のリズムをこなしさえすれば報われる世の中で自然と妻は家に入り家庭を守る。必然的に一家の大黒柱に万一が起きた際には保険が必要という流れになり、保険会社も掛捨保険にとどまらず、積立保険も手数料を差し引いても十分収益が上がるという構造だったのがこれまでの日本だ。
2、今後の日本 低成長の現代で保険料の捻出は家庭にとっても重くのしかかる「固定費」であり、加えて給料の増減、マイナス金利による貯蓄保険の限界、となればなるべく安く掛捨保険をというのが自然な流れであろう。そして家族構成も大きく様変わりし、一人暮、一人親と子、夫婦と子、夫婦と多様化してきており、パパとママに子どもという生命保険会社のCMは一部の人にしか訴求力がない。そこで今後のテーマは「就労不能」ではないかと考える。 また少子化を考えるとセールスパーソンは減ることになり、製販分離により保険会社はメーカーに徹し、設計販売は機械が担うフィンテック時代の到来、と言いたいところだがどうだろう。人間がフィンテックに勝る点である直感、人生観はいくら時間が経ってもフィンテックに織り込むことはできない。つまり完全なるシンギュラリティ(人工知能が人間の能力を凌駕し人間生活が後戻りできない程変容すること)は起こりえないと考える。 フィンテックは資産運用についてはデータの蓄積もでき強いと言える。しかし保険設計において究極的には「個別保険料」という遺伝子レベルのことまでできてしまう可能性があるため、それは翻って自分の寿命を間接的に知りえることにもなり、そこまではやり過ぎではないかという風潮が大半だ。そういった意味ではシンギュラリティを過剰に煽る本屋の陰謀も見え隠れする。居酒屋と缶ビールを比べれば答えはわかるだろう。 しかし販売チャネルが一社専属、代理店、ネット、銀行とダブルスタンダード、トリプルスタンダードとなっている、ますますそうなっていくのは現実で、アメリカではネット生保の成長は日本の倍である。 また銀行、保険というビジネスは唯一先に資金が動くため厳しい監督が必要になり、昨今ではフィデューシャリデューティ(他者の信任を得て、一定の任務を遂行すべき者が負っている幅広い様々な役割、責任)ということが言われるようになり、手数料開示についても中長期的には実現の方向であろう。