体育科卒銀行員経由のアントレプレナーのreport

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~持続可能な資本主義(サステナブル・キャピタリズム)とは~


長坂真護さん、ご存じでしょすか。

この方の話を聞き、人生で初めてアートを買いました。100万円です。

17年前ホストクラブで働いていた彼は2019年、サステナブルキャピタリズムを提唱し、これまで何百社と取り上げられています。2009年から2016年まで路上の絵かきをしていて、その頃は1枚200、300ドルの売上だったのが、昨年は高いものだと1枚2憶で売れるまでに。

オンラインで30分程の講演を聞きましたのでお届けします。

路上の絵かきだった当時はアートだけでは食べていけず、世界15か国を回りながら、海外のブランドを現地で買って日本で売るバイヤー、今風に言うと「せどり」で旅の資金を調達していた。ニューヨークではシュプリーム、パリではルイヴィトン、ルブタンなどだ。

しかしある時フォーブスにこんなことが書かれていた。先進国が富めば富むほど新興国はどんどん貧困になっていく。「我々の生活の豊かさは、資本主義のある歪み上で担保されている」のだと。

ガーナのアグボグブロシーという街に、先進国が大量消費して使いふるした電子機器がたどりつく墓場がある。世界中から集まった電子機器が焼却され使える金属がリサイクルされているのだ。MDコンポやCDコンポ等20、30年前のものがここにたどり着く。焼却した際の融点の差で残る、銅、アルミ、レアメタルをバイヤーに売って彼らは生計を立てている。しかしその売値は銅だと1キロ国際取引価格700円のところ200円くらいだ。そして彼らにはガスマスクがない。PM2.5を測る機械で25ポイントが危険値とされる数値が999ポイント。健康被害によって30代で亡くなる方も多いという。

この大量の焼却前の電子機器を見て、まだこれらには使い道があるのではないか、彼らの内なる声を先進国の人たちに伝えなければならないのではと思うようになった。路上の絵かきをしていた時は、資本主義のトップライトに当たりたかった。でも500件のギャラリーに持って行っても資料すら見てくれなかった。絵かきとしての限界を感じていたが、これからは彼らのためにアートで生きていくそんな生き方はできないかと考えた。ただ資金もなく原資もなくどうやったら彼らを助けられるか・・・。

その時に書いたのが、真ん中に油絵で現地の子どもの顔を描き、その周りを拾った実際のごみを貼り合わせて作った作品だ。材料費わずか1万、これが2019年、2200万で売れた。この利益でガスマスクを1000個寄付した。今では文化もない地に無料の学校を運営して、子どもたちにも絵を描かせそれも世界中で販売している

ロサンゼルスで開いた個展ではエミー賞の監督の目に止まり映画化。このドキュメンタリー映画
Still A Black Starは最優秀環境ドキュメンタリー賞を受賞し、全米で公開となっている。

今SDGsという言葉をよく聞くが、アグボグブロシーという街にはこの反対が詰まっている。貧困で飢餓があり、福祉も教育もない、ジェンダーの平等もなく、エネルギーもなければ水も汚い、仕事もない、不平等、焼却してCO2の排出もすごい、海も川も真っ黒だ。

サスティナブルとは何なのか?

パリでバイヤーとして買い物をしている時に出会った女性に学んだ。彼女はオーガニック化粧品を売っているというが、それは単に体に良いものを使って化粧品を売るということでなく、これが売れることで有機農園が増え環境にも良い、というところまでの展開を想定していた。当時日本人は誰もそんなことを言っていなかった。そこでこのアートの形にたどり着いたというわけだ。自分がアートを作ることでごみが減り、売れることでこの問題が世界中に周知され、その利益を直接彼らに還元する。まさにサスティナブルビジネスではないだろうか。

現在年間600点程の作品を描き、売上も2017年500万、2018年1憶、2019年1.5憶、2020年3憶、2021年8憶と爆発的に伸びている。
販売チャネルとしては世界11店舗(うち日本7店舗)の専属ギャラリーの他、昨年は百貨店で5回個展を開催。1点2憶で売れたのは日本橋三越での個展だ。サステナブルキャピタリズムという概念で百貨店がごみを売っている現実がここにある。

このビジネスは2030年までにガーナにリサイクル工場を作るというところから始まっており、既に試験的な工場は稼働していて、ペレット化して(プラスチック)この材料でキャラクターを作ってアニメ化したり、このプラスチックをブランド化して販売したりという構想がある。また農業の展開もあり、売上から得た利益はここへ再投資されている。更に上場も想定していてこれが実現していくとますます注目度もあがりアートの価値も相対的に上がっていく。従ってガーナへの投資では一切の回収を考えていない。

10年後、20年後、日本橋ピカソと呼ばないでほしい、問題提起のバンクシーと呼ばないでほしい、問題解決の長坂真護だ。彼らよりもはるかに難しいことをやっている自負がある。社会問題を解決することがソリューションだと思う。<まとめ>

SDGsという言葉が独り歩きしポーズ化しているのは皆さんも何となく感じているところがあるのではないでしょうか。それであればこの作品の理念に共感を示し、会社の受付にドンと作品を飾る、この方がよほどまともなのかもしれないとも感じました。
アートの新しい形という側面もあると思います。これまではただ人気が出ると価格が高騰するというものでしたが、今回の話には明らかにストーリーやメッセージが付加されています。
そして本題とはそれますが、ガーナの川には電子機器の他に大量の服も捨てられているそうです。古着の寄付が年間1.2憶万着届いているのですが、ここに卸売問屋が介在して55キロパックの袋の中に押し込まれている400着程の古着を小売りするのだそうです。この卸売り問屋はすごく儲かっていていますがその代わりにガーナのアパレル産業がつぶれた現実もあるのだとか。それもあり東アフリカでは今寄付禁止になっているそうです。1人当たり200、300着が手に入る状態になり、彼らですら服が余って海岸沿いに捨てられているという現実です。また寄付の50%以上はフリースとかセーターとかなので年中真夏の彼らはそれを着ませんから業者が海に捨てて倉庫を空にするのです。
2025年の大阪万博での太陽の塔のようなものを再生プラスチックで建てる申請をしているとのこで、いいところまで来ているそうです。このビジネスはサスティナブルと言えるでしょうし、確証はありませんが、万博で採用されるようになればこのアートがセカンドマーケットで高騰し、投資家にも将来恩恵がもたらされるのかもしれません。ご購入の検討いかがでしょうか笑。