体育科卒銀行員経由のアントレプレナーのreport

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デリバティブを活用した仕組債

ホワイドボードで説明した方がわかりやすい内容ですが文章で申し訳ありません。
長いですが必要文量かと思いますのでご了承ください。ご興味あればよーくお読みください。
皆さんはどうお感じになるでしょうか。私の見解は最後に致します。
〇仕組債とは
債権にデリバティブと言って何かしらの条件がついたもの。実際は外銀が発行しており、主にEB債という名前で販売されている。
どこかの会社の株式を参照し、その株価の値動きがあらかじめ定めた条件を満たすと年利40%、満たさないと年利0.1%が受け取れる商品。年限は42か月。
仮に100万いれると、最大3年半ロックされることになる。 スタート株価が1万円だとすると、CT(クーポントリガー)60%という設定がある。 これは毎月の判定日に、スタート株価の60%以上であれば、年利40%、つまり月利3.3%→ 100万投資したなら3.3万がチャリンと受け取れる。 一方判定日にスタート株価の60%を下回ると、年利0.1%、100万の投資額であれば83円が受け取れることになる。 この高い金利が取れるか低い金利が取れるかをCT(クーポントリガー)という。 スタートから株価が1万円から6000円の間にずっと推移し、毎月の判定日毎にチャリンチャリンと受取り、満期を迎えると投資元本100万と総額140万の利息がもらえることになる。 →勝ちパターンA しかしこれは3年半の間、スタート時が一番高い株価ということになるので、それはそれで実現性に疑問が持たれる。スタート時よりも株価が上昇することもあるからだ。ということで判定日にスタート価格を上回ると、KO(ノックアウト)といって期限前償還となる。この場合何回か金利を受け取った後、3年半を待たずに投資元本100万が償還される。 →勝ちパターンB
では勝ちパターンA、Bどちらが望ましいのか? 答えはAではなく、Bである。 ここまではリスクの話がないので、ここからはリスクのお話。 仕組債の最大のリスクは、判定ラスト1か月、というものだ。41カ月目から償還までの1カ月の間、たった一日でもスタート価格の50%を終値が下回ると、KI(ノックイン)となる。これが仕組債最大のリスクと言われている。KI(ノックイン)になるとその会社の株で受取らないといけないのだ。
1万円でスタートし、株価が4000円になってしまったとするとKI(ノックイン)となり、100万の投資額が、目減りした40万相当の株で返ってきてしまう。その対象株がよくわからない新興企業の株であったらその後の株価もぼっこんぼっこん乱高下する可能性もあり流動性にも欠ける。なのでKI(ノックイン)は避けたい。 途中で金利をもらうのは良いとして、最後1か月でKIするリスクがあるわけなので、KOしてしまえばKIすることはなくなるのだ。従って勝ちパターンBを目指し、KOしては次の仕組債、次の仕組債とロールしていくのが理想的とされている。
例えるならば全部で42回じゃんけんがあるということ。41回目までは年利40%が獲得できる<勝ち>、あるいは年利0.1%が獲得できる<あいこ>という構図になり、ラスト1カ月だけ、毎日本気のじゃんけんをすることになる。
50%以下→KI<負け>、50%から59%<あいこ>、59%以上<勝ち> となる。
※対象企業が倒産するリスク、発行体の外銀が倒産するリスクは除く。
ちなみに上記の59%以上<勝ち>というところにSD(ステップダウン)というKOと親和性のある機能がある。
SD(ステップダウン)とはKOの幅を毎月1%ずつ早期償還の幅を下に広げてくれるもの。1万円のスタートに対して、翌月KOするためには1万円以上でなく、1%引き下げた9900円以上であれば良いことになる。ということは41カ月経過すれば41%下に広がるので5900円以上であればKOできることになる。従って先ほどのラスト1カ月の本気のじゃんけんで59%以上<勝ち>となるのはそのためだ。SDが適応されてKOとなっても償還される金額は投資元本の100万なので正当なKOへの後押しとなる。
ここでしかし、である。そもそも仕組債を作る上では、これらの対象企業の株価が上がると見込んで選定している。であればこんなややこしいことをせず、この会社の株を直接買えばそれで良いのではないかという疑問が湧いてくる。これはおっしゃる通りで、金銭に余裕があれば是非個別株も買われたらいい。 ではなぜ仕組債を通じて買うのか? 仕組債であれば、突き抜けて儲けることはできないが(KOがあるため)、下がっても年利40%(月利3.3%)が受け取れ、更に下がっても年利0.1%が受け取れる。KIするまでは負けが現実化しないというリスクヘッジが取れる点がメリットとなる。
直接個別株を買う方は配当、優待もあるが、基本的にはドーンと値上がりすることを期待するケースが多い。ただドーンと上がる銘柄はドーンと下がる銘柄でもあるので、オフェンスを求めつつ、ディフェンスも固めながら投資したらどうか、という話に落ち着く。
これを大手証券会社でも買えるが、最近IFAで買う流れが起きている。
※IFA→特定の会社に所属しない金融アドバイザー IFA、大手証券会社、仕組債の商品のリスクレベルを同じように設定にした場合、
<大手証券会社>リターン→年利20%、ロット→5000万から(ケースバイケース)
リターン→年利40%、ロット→100万から という違いがある。
金利の違いについて。大手証券会社には立派な立地にオフィスがあり従業員がいる。仕組債案件が支店から本店に行き、海外事業部に行き、そこから外銀に依頼が行く。 IFAの場合は小さなオフィスがあるだけで、そこから直接外銀に依頼が行くので余計なコストがかからない分条件が良くなる。ATMも支店も持たないので当たり前だ。 ロットの違いについて。そもそも仕組債には公募と私募があり、公募は売り切れがないが、私募は売り切れがある。大手証券会社は、年利20%、あなただけに一口5000万で商品作ります。と募集する。しかしこれは2.5憶くらい資産がないと声がかからない、なぜなら仕組債は全金融資産の20%までしか買えないルールがあるからだ。ゆえに一般人には到底声はかからず、びっくりお金持ちにしか声がかからない。でも実は一人5000万最低出さないといけないというルールはない。これは大手証券会社の効率を考えたルールでしかなく、公募は50人以上、私募は49人以下というルールさえ満たせばOKなのだ。 IFAメンバーは前職である大手の証券会社、保険会社、銀行時代から関係を継続している1人で5000万くらい軽々出せてしまうお客さんがいるので、そういったお客さんだけで仕組債を組成しても良いところに、ぶら下がる形、相乗りという形であと48人の方に買えるようにしましょう、こんなコンセプトになっているので小口から購入できる。 以上の点から資産家の方も大手証券会社よりも条件の良い仕組債を購入することができ、そもそも仕組債のお声が大手証券会社からかからないお客さんも100万からこういった商品を買える、という点でIFAから仕組債を購入する流れができている。
ポートフォリオを組んでうんぬんかんぬん、ということは本来専門家はいらない。基本的にはネット証券で市場全体に投資する、インデックス運用すれば良いのだから。しかし小口からの仕組債は大金持ちでない限り、こういった専門家を通じてしか買えない。
(考察) よくできた話だと感じました。 実際うまくいくこともあると思います。また年利40%については、年利30%、20%のものもあるので一概にすべて40%なわけではないそうです。また42カ月のものもあれば、3カ月、1年のものもあるそうです。ただし、短ければ短い程値動きが読みやすいので受け取れる金利も低くなるそうです。
またIFAの利益はどこにあるのかという点については、発行体の外銀から手数料が計算されてIFAに支払われたり、ネット証券の場合ルールとして年利40%以上という表記ができないので、実際は42%だったりした際にはその2%を手数料としてIFAが取ることもあるとのことです。いずれにしても大手証券会社で購入するよりは条件は良いのだと思います。法人でも購入できます。
ただし。 1時間の講演でしたが、トータル感じるのは、 これはマネーゲームですよね。お好きな方は購入されたら良いかと思いますが、ノックインが気になって本業がおろそかになるとしたら、それを望むかどうか。皆さんはどうお考えでしょうか。 やはり市場全体を購入するような、長期、分散、積立が基本だと思います。