体育科卒銀行員経由のアントレプレナーのreport

日々勉強したこと、収益目的ではないです。Facebookに貼り付けたりはしないでください。

FIRE

FIRE(Financial Independence Retire, Retire Early)

クリステイー・シェン&ブライス・リャン 岩本正明 訳

 

最近、リベラルアーツ大学等のユーチューブで精度の高い金融リテラシー情報が無料で閲覧できるようになりました。

所詮ユーチューブとあなどることなかれ、我々金融機関の人間も勉強になります。

また、先日マネックス証券の立ち上げに携わった内藤忍さんの勉強会にも参加してきました。海外不動産の情報等、富裕層向けの高額セミナーの案内もありました。

共通して言われていたことが、「インデックス投信の積立」が最強であるということです。

資産運用には銀行、証券会社、保険会社色々窓口はありますが、楽天証券SBI証券などのネット証券で格安の手数料でインデックス投信を積み立てることが実は一番だという事実が見えてきました。

ご紹介する書籍はFIREムーブメントの第一人者、クリスティー・シェン氏のものです。31歳で1憶貯めて経済的独立、早期退職を成し遂げた体験談の中から、主に資産運用にかかわる内容を中心にお届けさせていただきます。

この書籍は自己啓発本ではありません。この本を読むと、銀行員、証券マン、保険屋さんが嫌いになるかもしれませんが、ある程度正しいと感じるのでお届けします。

以下要約です。

 

私は資産運用というのは個別銘柄を選ぶことだと思っていた。アップルの株を10ドルで買い、それを高く売るやり方だ。でもこれはギャンブルと変わらず、毎日ドキドキしなければならない。

インデックス投資とはどの会社の株価が上がるか下がるかという当て推量をやめて、株式市場全体の成長に賭けるものだ。

これまで私は競馬をしたことがない。どの馬が勝つかなどわからないからだ。でもそのカジノ自体に賭けるか?と言われればYESだ。どの馬が勝とうが負けようがカジノ自体は儲かるようにできているのだから。

投資をする際、怖いのは資産がゼロになることだろう。インデックス投資にはそのリスクはない。時価総額に準じて保有銘柄が決まるという素晴らしい特徴を備えているからだ。だからこそ株式市場を代表する500社で構成されるS&P500などはこのやり方で算出されている。

これは自浄作用とも言える。指数を保有するということは、最も大きくて健全な会社だけを保有し、悪い会社の株は価値がゼロになる前にポートフォリオから確実に排除できるということなのだ。(ダウ平均はこの算出方法ではなく、株価でウェイト付けされている。)

逆にアクティブ投信を評価する上で、最もおおきなストレスは機密アルゴリズムといったファンドマネジャーが明かしてくれない運用方法にある。それを教えたら彼らが失職する。インデックス投資の魅力はそのシンプルさで、株式市場のすべての会社を時価総額順に並べ、上位500社を選べば終了だ。ファンドマネジャーはいらない。

一般的にアクティブファンドの年間コストは1から2%程度だが、米国株式市場と連動する典型的なインデックスファンドの年間コストは0.04%だ。運用コストはあなたの資産から毎月こっそり引かれる恐ろしいものだということを知らなければならない。

S&P500はまず右肩上がりの指数であることがわかる。さらにS&P500に運用コストが1%上乗せされた場合のパフォーマンスとの比較も示されている。25年前に100万預けておいたものが、コストの上乗せがあるものとないもので、600万か500万かつまり、100万もの差がついていることがわかる。

更に、これが極めつけとなる癪に障る事実だ。アクティブファンドであるならば、さぞかし素晴らしい運用成果を出してくれるのだろうと思いきや、インデックスファンドよりも良いパフォーマンスを出しているアクティブンファンドは15%しかない。その理由は彼らの給料にあたる年間コストだ。これが重荷になって、インデックスファンドより優れた成果をだすためには、年間コストにあたる1,2%は運用成果を確保しなければならない。この事実を知って私は答えがシンプルであることに気づいた。

ウォール街はインデックスファンドが嫌いなのだ。あのまぶしいガラス張りの高層ビルの中は、株式トレーダーであふれている。数千人のアナリストが長時間働き、すべての上場企業のプレスリリースや決算資料を熟読し、その情報に基づいて売買注文がなされる。ある企業の株価が本質的価値を下回っているという情報であれば買い、その逆であれば売り。ただしかし、誰かが彼らの仕事への対価を支払わなければならない。そこでアクティブ投信の出番となるわけだ。運用資産額の一定のパーセンテージを大した金額ではないと錯覚させることで、彼らの決して安くない給料がまかなわれている。

インデックス投資において、投資信託ETF(上場投資信託)はどちらが良いのか、という疑問が上がると思うが、イデコ、積立ニーサに対応しているのは投資信託の方。ETFの方が年間コストは安いが、節税という点でまずは積立ニーサ、イデコを活用することをお勧めしているため、まずは投資信託で良いかと思料。

 

インデックス投資こそが我が道であることはわかったが、正しいファンドを選んでポートフォリオをデザインするのはまた別の作業である。すべての資金を一つの指数に投ずるべきなのか。そんな現代ポートフォリオ理論に出会った。考案者のハリー・マーコウィッツは後にこの功績でノーベル賞を受賞している。

この理論では資産は2つの指数である、期待リターンとボラティリティ(ばらつき、リスク)で表される。

S&P500がハイリスクハイリターン、債券はローリスクローリターンであることがわかり、相反する値動きをしていることもわかる。あらゆる資産はリターンとボラティリティで表される。こういった株式、債券、現金、不動産等をどのくらいの割合で持つか、これをアセットアロケーションという。

そして、株式に関してはインデックス投資を選ぶ(ポートフォリオ)、このことが私にとって大きな「アハッ」の瞬間だった。

アセットアロケーション→資産のうち25%を外国株式、25%を日本債券、25%を不動産、25%を現金

ポートフォリオ→外国株式SP500、日本債券〇〇ファンド、不動産〇〇アパート・リート、現金ソニー銀行 等

この点を理解した上で、決断しなければならないのは株式と債券のバランスだ。あたなが若ければボラティリティはそれほど気にする必要はないだろう。株式の高いリターンがもたらす福利効果が重要だ。資産が500万の時の50%の下落と、年齢を重ね資産が5000万に膨れ上がった時の50%の下落では実額の損失は大きく異なる。私たちは株式60、債券40と決めた。

株式、債券のアセットアロケーションを選んだあとは、ポートフォリオ、指数を選ぶ番だ。米国は最大の経済大国であり、世界株式市場の50%は米国が占めている。第二の故郷であるカナダのインデックス、アメリカ、カナダ以外のインデックスEAFEを3等分とした。本書ではポートフォリオと表記されているが、本来アセットアローケーションと表記すべきか。

私たちが貯めてきた1000万の注文を入れると、ほぼ即座にポートフォリオが出来上がった。すぐに1万の利益が出て、5万、10万とプラスになったのだ!

 

「2008年9月、世界金融危機

うそうそうそーーー、株式の大暴落、サブプライムローン危機という言葉が新聞を踊る。瞬く間に資産の20%を失い、ブライス(著者の夫)の帰宅した時、すべて売却のボタンを押しかけたが、彼が何とか思いとどまらせてくれた。それから数か月残念なことに私の不安は収まらなかった。2週間後にはリーマンブラザーズが破綻し、世界金融危機はピークに達していた。

ここでリバランシングが必要になる。株式市場は毎日上げ下げを繰り返すが、長期的には指数は右肩上がりなのだ。S&P500も1950年以降に起きた東西冷戦、キューバ危機、9.11などあらゆる災難を経ながらも、指数はそのたびに回復している。ブライスは2008年のあの日にそのことを知っていた。すなわち、下落時に売って、回復期に利益を逃すことこそが、お金を失い続ける唯一のパターンなのだ。

私の資産は60%株式だったので、当然資産全体は下落していたが、アセットアロケーションを引っ張り出すと以下のようだった。

全体は下落していたが、お金がリスク資産(株式)から安全資産(債券)へと流れたため、債券保有額は上がっていたのだ。現代ポートフォリオ理論が求めている行為は、火事になっていない唯一の資産(債権)を売却し、株式市場が下落し続ける中、株を買いませというものだった。このことからも株式と債券を両方抱えることの重要性、個別銘柄がトラブルの元になることは明白である。インデックスファンドはゼロになることはないのだ。暴落相場に買い進めることはお金を燃やしているように感じたが、実際は保有しているインデックスファンドの口数は増え続けていたのである。

 

「4%ルール」

退職プランと経済理論を研究したトリニティ大学における論文が基になったもので、一定額の貯蓄を持っている退職者がポートフォリオから毎年、一定割合の金額を引き出しつつ、残りの資金をそのまま投資しておいた場合、ポートフォリオがどうなるかを調べたものだ。

1975年にリタイアしたアレンという男性がいたとしよう。彼は5000万の貯蓄を持っており、毎年500万の生活費を使った。つまり引き出し率は10%。彼は資金を株式市場に投じ、その年の生活費を500万だけ売却する。彼の資金は亡くなるまで維持するだろうか。

1982年にリタイアしたベティという女性がいたとしよう。彼女は6500万の貯蓄を持っており、毎年260万の生活費を使った。つまり引き出し率は4%。彼女も資金を株式市場に投じ、その年の生活費を260万だけ売却する。彼女の資金は亡くなるまで維持するだろうか。

この答えを何時間も計算機と格闘して研究者たちはその答え、95%の成功率を誇る引き出し率を割り出した。それが4%だ。つまりポートフォリオの4%の資金で1年間の生活費を賄えば、貯蓄が30年以上維持する可能性が95%だということだ。

しかし、このルールには問題点がある。退職直後に早速下落相場を迎え、それがしかも長らく続いた場合、下落相場の最中にも生活費を引き出さないといけなくなり、失敗の5%に入りかねないという点だ。

この問題を解決するのが、現金クッションと利回りシールドである。

下落相場時、一定の収入があればただ買いまして行けばよい。しかし、リタイアしているとその種銭がない。なので一定の預金を持つのだ。これがあれば下落相場に生活費のために売却をしなくて済む。どのくらい現金クッションが必要なのかを把握するために、私は過去の株式市場が暴落から立ち直るのにどれくらいの年数がかかったのかを調べた。中央値で2年、具体的には世界恐慌の時で5年、2008年のときには2年。どうやら5年分の現金クッションがあれば嵐も乗り越えられそうだ。ただ、年間400万の生活費×5年というとかなり大きな金額になってしまう。そこでもう1つの戦術が利回りシールド。どのようなETFにも分配金がある。

この分配金、配当はもらっても口数が減ることはなく、下落相場に売却したことにはならない。これを加味すると現金クッションの必要額は

現金クッション = (年間支出 - 年間分配利回り) × 年数

となる。実際の私の生活費、資産合計から計算すると

400万 - 1憶 × 2.5% × 5年 = 750万

となり、2000万に比べると随分少なくて済む。

 

「サイドFIREという方法」

経済的自立とは身にまとう鎧であり、一文なしにならないようにあなたを守り、安心して夢を追いかけることができるようにしてくれる。ただこの鎧を全身にまとう必要もない。100%経済的自立をしていなくても、年間400万の生活費のうち、200万だけは稼ぐということもできる。サイドFIREと呼ぶやり方だ。

 

「我が道を行け」

パーソナルファイナンスの世界の仕組みは下記の図のようになる。

ミリオネアは角の2つは平均でも残る1つが卓越した傾向にある。

ハスラーの富の源泉は稼ぐ能力にあり、ロバート・キヨサキスティーブ・ジョブズなどが著名。

投資家はお金から更なるお金を生み出す専門家で、ウォーレン・バフェット、ジョン・ボーグルなどが著名。

オプティマイザーは執拗に支出を抑えて財産を築く人で、私、JL・コリンズなどが著名。

リタイアして世界旅行を始めてから、私たちはすべてのタイプのミリオネアと親しくなった。彼らと出会って、ミリオネアになる方法は1つではなく、成功した人は自分の強みと弱みを理解した上で、自分に合ったアプローチを取り入れることで成功していることがわかる。

 

 

 

【まとめ】

ご案内した内容は全体のうちの3割程度でしかないので、他にも

住宅を持つか賃貸を継続する際の目安となる計算式(購入後のローン月額×150と現在の賃貸の比較)。

地理的アービトラージ(高金利通貨で利息を受け取り、物価の安い国で旅行しながら生活をする)

など興味深い内容が多かったです。

一番お伝えしたいのは「インデックス投資の積立」を基本とした、資産運用の必要性です。

特にS&P500という米国の指数は過去40年間成長を続けており、日経平均株価の過去40年間の推移と比較するとその差は歴然です。

これまで私は保険を使った資産形成、というお話を基本にしてきましたが、いよいよ保険の枠を超えた情報提供の時代が到来してきているように思います。

この書籍だけでなく、冒頭のユーチューブ等でも情報を入手し、私自身もインデックス投資の積立をスタートしました。

皆さんにも是非お勧め致します。